SHARP CP-A5 32年前のバブルデスクトップスピーカーを蘇らせる

執筆 / ライターY氏 様の投稿
(こちらのブログで何度かお邪魔しております、Y氏と申します。)
某ードオフで偶然見つけた、とても珍しいSHARP製AST採用デスクトップスピーカ、「CP-A5-B」です。
実はわたくしは小学生の頃、おそらく同時期に販売されていた、SHARP製ラジカセ「QT-C700」を愛用していました(父親が購入しました)。初めてCDというものを聴いた思い出です。同じくASTのロゴが付されていました。
低音が豊かに鳴り、心地よく8cmシングルCDとFMラジオを聴いていました。カセットも頑張ってメタルを買っていたなぁ。。
当時は知らなかったYAMAHAのAST(アクティブサーボテクノロジー)というものですが、簡単に説明すると バスレフ構造の鳴りを最大化する特殊な駆動方式、といったところでしょうか。
このころのSHARPやTOSHIBAは、YAMAHAと協業していたようで、ASTをライセンスしていたんですね。

このスピーカはポータブルDATプレーヤのオプションとして販売されていたようです。
さすがはバブル期製品。コーンにも特殊繊維ホロファインが採用されているようです。
ジャンクコーナーに置いてあり、2ついっしょにストレッチフィルムで巻かれており、 「音出ました」のみの記載。
動作確認もユニット確認もできないですが、懐かしさと珍しさに押されて買ってみました。

はい、負けました。
。。。
まだ負けてない!(サマーウォーズ
ジャンカーなら直すのが本番でしょう。
さすが30年超経ったウレタンエッジはボロボロのカリカリになっていました。

グリル側にもウレタン製リング型クッションが貼られており、これもボロボロ。

片方のサランネットにもややダメージがあります。

ユニットを取り外していきます。

防磁型のSHARP謹製7.5cm(3インチ)、6Ω、20W。ダンパーも大きく振れる余裕があるタイプです。
風化したエッジをデザインナイフとアルコールを使ってクリーニングします。

筐体も汚れ、ヤニ?が付着して少し茶色くなっています。

破れたサランネットも交換するので、カットして外しました。これをテンプレとして使います。

さて、交換用エッジですが、コーンサイズが特殊で3インチのウレタン製を何種類か試すもサイズが合わず、 仕方なくギリギリ適合したラバーエッジを使用することにしました。

木製スペーサ?も丁寧に外し、コイルタッチしないようフィッティングし、(少し歪んでいました)テープで仮止めします。

エッジ交換におなじみ、セメダインSuperXの登場です。

竹串とつまようじを使い、少しずつ隙間を開けて塗布していきます。糸が引いて少し付着してしまいましたがご愛敬。このまま少し重しを載せて一日放置。

さて少し、細かく見てみましょう。

電源ケーブルも1991年製。筐体内は基盤がぎっちり。電源トランスも内蔵されています。
1日後、エッジの乾燥が終わり、スペーサも取り付けていきます。

さて、問題のグリルについていたクッションですが、すきまテープで代用しようかと思いましたが、 世はSDGs。なるべくアリモノで直していこうということで探していたところ。。

900STのイヤーパッドが劣化していたのを思い出し、

中のスポンジを取り出してみました。使えそうな予感。。

ピッタリ!(やや太めですが)これを使うことにします。
接着の終わったエッジですが、柔軟性と耐久性を期待しておなじみ303AEROSPACE PROTECTANTを染み込ませていきます。

筐体にもクリーニングして塗り込みます。
BEFORE

AFTER

どうでしょう、しっとり艶やかに蘇りつつあります。ロゴ部もピカピカに。

さて問題のサランネット張替えに着手します。はじめての作業です。どうなるでしょうか。
純正サランネットは見た感じ接着剤というより、超音波か高周波の熱接着で仕上げられているように見えます。

取り外したサランネットはちりめん様加工の化成生地でしょうか。こちらも色あせて灰色に近くなっています。

替えの素材に悩んだところ、やはり無駄にしないことを念頭に

底がやぶれた百均のソフトケースを使ってみることにしました。
裁縫をほぐして1枚モノに戻し、アイロンをかけます。

このままでは厚すぎるので、3層構造の表面だけをアイロンを長く当てて接着剤を軟化させて剝がしていきました。

剥がれました。いい感じの薄さです。残った2層はなにかの時に保管しておきます。

熱接着などはできないので、盛り半田ならぬ盛りホットボンドを施し、

フィッティングをしてネットの上からグルーガンの先端を当てて溶かして染み込ませ、接着していきます。

途中経過。

テンションをかけながら張っていき、なんとかうまく張れました!

新旧比較。なかなか違和感なく仕上がったんじゃないでしょうか。

問題ないことがわかりましたので、例のリング型クッションも貼り付けていきます。

取り付けたところ、

問題ありますねえ、、透けてクッションが見えてしまいました。 慌てません。クッションを染めてしまいましょう。 白髪染めを使ってクッションを黒くしました。

ヨシ!
さて、サランネットの素材を探していた時にちりめん風ということもあって、
趣旨からは外れてしまいますが綿素材のちりめん風素材が余っていましたので、その接着テストをしてみました。

やはり綿素材は厚みがあり、接着はできましたが筐体へのフィッティングに難がありグリルが歪んでしまいました。
角部分の処理を工夫すればいけそうですが、それはお好みで。

左右のサランネット張替えが完了です。

\達成感/

これぞジャンカーの醍醐味です。まぁまぁきれいに仕上げられたと思います。

肝心の音は、やはりASTの効果もあり低めの重心かつ1本ずつ独立アンプ(ステレオセット販売だったようですが1本ずつ独立した設計)も相まってきわめてセパレーションが良く、鮮明な音像と自然で豊かな低音が特徴的で、ゆったり音楽が楽しめる機種だと感じました。

適合するウレタンエッジだとどのような音になっていたか気になるところですが、愛用していたラジカセから予想するに少しだけ重心が上がり(MID寄り)ボーカルやピアノ等の音色にハリが出るかもしれません。

幸いして少し現代風な音色に衣替えしたバブルの生き残り。気合の入った製品は直して永く使っていきたいですね。