YAMAHA NS1000M ジャンク2ペアで原状回復作戦!

もう説明する必要はないでしょう、名機中の名機、YAMAHA のNS-1000Mです。
今でも秋葉原を歩いていると多くのオーディオショップにディスプレイされているのを見たことがあるのではないでしょうか。特にラジオ会館付近など。

NS1000Mは毒性のあるベリリウム製振動板の問題など、様々な理由で生産も終了しており、保守パーツの入手の難易性も高いことも判っていたので、なかなか手を出せなかった機種でした。
しかし、仕入れ担当よりNS1000Mのジャンクを2ペア入手したと連絡があり、これも何かの縁なので、通称 "センモニ" について勉強をする良い機会として原状回復に挑戦しました。

軽く2つのジャンク品の状態です。
1ペア目:どちらもウーハー不良。(シリアル1万番代)
2ペア目:スコーカー、ツイーター、片方1発づつ不良。
この状態でこれ以上問題が無ければそれぞれの正常パーツを移植して1ペアの完全動作品を作る。通称「ニコイチ」作戦が通用しそうです。
こうして、ついに手を出してしまう日がきました・・・果たしてうまくいくのでしょうか。

▼アッテネータの状態を確認する管理人

NS10000Mは製造時期により、劣化の仕方が異なるようです。その目安はシリアル番号からある程度判断することができます。 情報によるとシリアル番号が6万番よりも前の個体は、マグネットの固定に使われるエポキシ接着剤の性質上、錆びが発生しやすく、錆びが酸素と化合して膨らむことでマグネットの接着を強烈な力で剥がしてしまうらしいのです。
したがって、マグネットのセンター位置がズレて、ボイスコイルに接触。ガリや固着といった症状が発生するのです。 


2ペアのうち、まずはシリアル番号6万番後半の個体のウーハーユニットをチェックします。


よかった。セーフです。。。
とりあえず、6万番台後半のシリアルは改善後の接着剤に変更されている個体の様です。同様に、スコーカー、ツイーターのマグネットもマグネットの隙間に発生する錆びは認められませんでした。


さて次は恐る恐る1万番代。。うわ!グラスウールに粉が!これは嫌な予感が!


これです!噂に聞くNS1000Mの持病!本当にこうなるんだ!(情報通りで若干嬉しい)


さすがは相当に初期の1万番代、しっかりと錆びています。ボイスコイルもしっかり固着してしまっているので、コイルも傷ついている可能性がありますのでマグネットをバラしてセンター出しをしたところで果たして大丈夫かどうかはまだ未知です。ひとまず当初の目的である、ニコイチ作戦に戻ります。


一旦、正常が確認できたウーハーは戻し、片側1発づつ音が出ないスコーカーとツイーターを取り外して工房へ持ち帰ります。


さて、工房へ持ち帰ったので問題のスコーカーからバラしていきます。ゴムはカチカチに硬化してしまっているので、切れ目をいれてバリバリと取っていく事にしました。


ゴムパッキン?が取れるとグリルを取り外す事ができます。


ボイスコイルも一見は問題なさそうですが、問題は表面的な焼けなどではありませんでした。


断線の原因はこの内側の青さび(銅の線が錆びた状態)でした。6万番代でも、密閉型のスピーカーなので湿度がこもり易く、こういったエナメルが薄い箇所から腐食してしまうことによる断線が多い様です。


次は同様にツイーターのボイスコイルを確認。外した瞬間にボイスコイルがバラバラになり、崩れてしまいました。これも同様に、湿度からくる錆びが原因の様です。


拡大すると、このように至る所が水膨れのように膨らんでしまっています。これはもう、手の施しようがありません。ひとまず、勉強になりました。


気を取り直して、正常なスコーカー、ツイーターを綺麗に磨き上げてグリルも再塗装。先ほど取り外したゴムリングの代わりに黒ゴムを流し込んで接着します。乾燥すると体積が減って痩せるので、2度塗りをして仕上げました。


ユニットを元に戻したらエンクロージャーも木目が綺麗に透ける塗料で仕上げました。この塗料はすごくオイリーですが、元の質感にとても近く違和感なく塗り上げることができました。

ウーハーのコーン紙もどうやら元々は黒だったようなので、軽さや防カビの観点から墨汁をとても薄く塗装。なるべく原状(当時)の様子に近づけました。

最後にアッテネーターのガリを直して、無事に正常動作。テクニクスと記念撮影です。
さすがはスタジオモニタースピーカーという音質。中高域の解像度が高く、ボーカルの口の形がわかる程、緻密かつ繊細に再生してくれます。何かに似た音質だと思うと、SONYのMDR-CD900STによく似た聴こえ方というと伝わりやすいかと思います。
原音に忠実というよりは、小さな変化を拡大して表現してくれる虫眼鏡のようなスピーカーです。それが、当時、スタジオで重宝された特性なのでしょうね。YAMAHAさん。ほんとに凄いスピーカー造りましたね。