MDR-CD900STをステレオミニプラグ化!

レコーディングスタジオから屋外の撮影現場のまで、音を確認する必要がある全てシチュエーションで必ず登場すると言っても過言では無いこのヘッドフォン。SONY MDR-CD900STはプロ機材での使用を前提にデザインされており標準ステレオプラグの仕様となっています。また、ケーブルはストレートタイプ。カメラマンさんの話によると特に動きのあるロケの現場などではストレートケーブルは絡まらなくて便利なのだそう。

SOUND HOUSEの全ての動画を制作・編集している動画チームからのご依頼で、ミニステレオプラグのカールコード仕様への換装にチャレンジすることになりました。編集用のPCに直接挿せるミニSプラグに、決まったワークスペースではカールコードの方が取り回しが良いという事で、兄弟機のMDR-7506に使われているケーブルの交換パーツ↓を使用します。価格は4千円ちょいでした。
品番は[1-580-792-14]で検索!

そして届いたものが右のような袋に入ったケーブルです。型番シールが直接貼られたビニール袋が、業務用の交換パーツ感があって個人的なLikeポイントです。

今回はケーブルが断線して片方から音が出なくなってしまっているという症状もあるようで、ケーブル交換で同時に解決すればよいのですが。何はともあれ作業を開始します。

イヤーパッドはリング状で、隙間にゴムの力ではまっています。パッドの内側から、なるべく奥の方を指先で外側へ広げる感覚で外すことができます。

パッドを取り外したらドライバー部分を固定する4つの銀色のネジを精密ドライバーで外します。

開けるとドライバーの裏面と反響を抑えるグラスウール(ミクロングラス)が見えます。ヘッドフォンは小さなスピーカーですから、構造も同様ですね。

内側から配線をニッパーで切り、スルスルと抜くことができます。

同様にこの穴から新しいケーブルを通して繋いでいきます。

元の配線と同じ色をハンダ付けで新しいケーブルへ付け替えます。7506ケーブルの色は[ブロンズ:グランド/緑:レフト/赤:ライト]の配色になっています。

はんだ付けが済んだのでドライバーを取り付けて音出しチェック。しかし、やはり片方(右)のドライバーから音が出ません。

この時点で考えられる故障は次の2つです。
①アーチ状のヘッドバンドを通り、右ドライバーへ繋がる導線の断線
②そもそもドライバーの故障(過大入力などによる焼けきれ)
技術者などが様々な機材をチェックす用途であれば、チェックする機材の故障などにより過大入力が加わり、ヘッドフォンへのダメージの可能性、つまり②の説が挙がってきます。しかし今回は、いつも決まったPCでの動画編集作業をする用途なので、②の可能性は低く①の説が濃厚です。

両方のドライバーを開けて、チェックしたところドライバーの断線は無し。つまり、どこかの銅線がどこかで断線している筈です。区間ごとに配線の導通をテスターを使って調べます。

ピンセットで摘まみ間ながら、導通が切れる場所を発見。右側のドライバーへ繋がる、この細いケーブルの付け根で断線していました。ここは長さ調整でよく動く上に、テーブルに置いたり、手で持ったりする際に直角に折れ曲がるのでかなりケーブルに物理的な負荷が生じるポイントです。

隠れている部分もネジで開けられるようになっています。メンテナンス性が高い構造になっているのも、このヘッドフォンの大きな特徴です。このように細いケーブルが直角に配線されており、ケーブルにとってみればなかなか苦しい形を強いられています。

注意深く調べたところ、どうやらこの3ミリ程度の間で導線が切れていそうです。狙いを定めて、最小限の長さで「断線した部分のみ」を摘出してバイパス処置を行います。ただでさえ短い長さの部位なので、失敗すればケーブルが足りなくなってしまい、代替策を考える必要があります。

こちらが摘出した区間のケーブル。本来はカットした3~4mm程度の長さの銅線が中から出てくるはずですが、2mmちょいの銅線もポロポロと解れて出てきました断線箇所はここで的中だったようです。

続いて切断した箇所を今度は繋ぐ作業です。細い上に、ヘッドフォンのケーブルはエナメル線と言われる銅線が使われいます。導線同士が振れてもショートしないように表面が加工されています。このエナメルを剥がす方法として一般的なのはカッタやヤスリなどで表面を擦り落とすか、ハンダの熱で溶かすかです。
今回は銅線が細く、削る作業は難しいため熱を当てて溶かす方法で接続します。

無事に繋ぎ合わせることができました。熱を加えすぎると、ケーブルの被膜まで熱が伝わり、溶けてしまうので、絶妙なさじ加減が必要です。「もう少ししっかりハンダを染み込ませたい」と思いつつも、妥協した方が結果オーライである場合もあります。

マスキングテープで絶縁と補強をしながら接続部に外部からの力が掛からないようにフレーム内にしまい込みます。

これにて全て健康に戻り、デスクでの取り回しのよいカールケーブルとPCなどに直接挿せるミニプラグ仕様のMDRCD900STの完成です。